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TRPGとメタルフィギュア好き。 多肉の写真もあげています。 現在オンセはD&Dしています。
メルセーデが深い山中から村そばまで降りてきたときにはすでに夜もだいぶふけ、手元すら暗くなっていたころだった。しかも、早く村に降りたいと考えていたゆえに、焚火をして休んでいる男に先に気付かれる程であった。
「暗い中どうしましたか、これから村に降りるのですか?」
男から声がかかる。

「(しまった、警戒無さ過ぎだった)」
メルセーデは自分の迂闊な動きに後悔したが、もう遅い。
もう何年もひとりで旅をしてきたというのに、まだ村に戻るときは気を抜いてしまう。
「ここ、村の明かりが大きく見えますが、まだ遠いですよ。よければ、こちらから見てはいかがですか?」

夜、森の中で誰かに会うとき。
その時のルールは「人であっても獣と同じ」とメルセーデは考えていた。

お互い、ちらと挨拶だけしてやり過ごす。

相手が敵か味方かわからないから。

深く話し込むのは、昼、相手が「人間」で「友好的」と判断できるときだけ。

「いえ、急ぎます、ありがとうございます」

声をかけてくれた親切な相手に礼を言うため、自分の姿を少し見せて、そして自分も相手を見た。
相手の男性は、青黒い髪と口髭。古びた外套を羽織り、その手には聖典を持っていた。また、焚火に照らされて胸に光った聖印は「死の神」のもの。

「…おや、あなたのそれは…?」

明るい瞳の彼の目が、焚火に照らされてきらりと光る。
メルセーデが彼の聖印を見るのとほぼ同時に、彼は、彼女の背にくくってあった、ネルルの鎌を見つけていた。当時、メルセーデはこの鎌をネルルのものとは知らずにおり、胸には太陽の聖印を身に着けていた。

初めて会うクレリック同士であっても、互いの装備を見れば、これまでの生きざまを知ることができる。
少なくとも、この瞬間は二人にとってそうであった。
「あの、今」
「そうです」
「いやまだ何も言ってないですけど」
「いえ」
「今晩は信仰について話す相手が出来た、と考えてませんか」
「ええ」
死の神の聖典を持つ男は薄く笑った。
「わたしの話もいいですけど…あなたの話も聞かせてくださいね? ええと、わたしはペイロアに仕えるメルセーデです。あなたは?」
「ケレンヴォーの使徒、モーン。モーンドレオン」
「"嘆き"だなんて…もうその信仰に生きるためにいただいた名前のようなものじゃない」
村に向かう時間を、神への祈りに使うと思えば悪くないかとメルセーデは考えなおし、焚火の明かりの輪の中へと入っていったのだった。




robataniさんからポストカードをいただきまして!
嬉しかったのでrobataniさんとこのモーンさんとのコラボ的なもの!
書いてみました!

…書いてからモーンさんってもっと寡黙そうだなと気付きましたが、信仰という愛深き世界についてはどうしても黙っていられなくなったということで!

伝説級のクレリックが出会いましたよ、という話です。
二人とも死の神にかかわるクレリックです。
(メルセーデはこの後神話級に入り、神話の運命を「デミゴッド」で選択してから死のクレリックとしての資格を得るのですが…ネルルの鎌を手に入れたのがきっかけなのであります)
…とはいえ、通ってきた道も、これから行くであろう道も違うクレリック同士、お互いにいろいろな話をしたいんじゃないかなあと思ったシーンでございました。
クレリック同士のあーでもない、こーでもないという話は…こう、なんというか、クレリックじゃない者には聞かせられないつまらない話だろうなと思いましたので、パーティーの他のメンツはいないときに出会ってもらいましたw

robataniさん、カードありがとう!
私からの精一杯の愛をこめて。

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