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TRPGとメタルフィギュア好き。 多肉の写真もあげています。 現在オンセはD&Dしています。
昨日の記事からの続き。

(PC小話についてはこちら)




◆第2日曜 昼ごはんのあとのメルセーデが語る

大きなテーブルと椅子に、ちょうどいい巨人と、子供みたいなわたしがすわりました。
お互いに静かにパンをもそもそ食べました。

パンは、小山ほど持っていきましたが、かたっぱしから巨人が平らげました。ひとかたまりのベーコンも彼がかぶりつき、数口で食べ終わったので、もっともって行けばよかったと思いました。
フルーツはわたししか食べなかったので、ほとんど余してしまいました…。

「本当に、なぜ人間どもは何度も小分けにして食べるのかね…一度に取れば、時間も無駄にしなくて済むものを」
「いいんです!人間は食事の時間を家族や友達と話し合う時間に使うんです!」
全員がそうではないと思いつつも…自分の思っていることを言いました。

と同時に。
自分にとって食事は語り合う時間にしたいのだと思っていることに気づきました。

「お前の仲間はどうした?ドラウのような者と、ドワーフ、ティーフリングなど、それぞれの種族のはみ出し者みたいなものが揃っていたと思うが…」

正しくはドラウだけじゃなくエラドリンもいましたけどね…。
って「各種族のはみ出し者」そう思われてたんだ…。

「今日は一人ですっ」
「そうか」

彼はこちらをちらりと見たあと、また食事を続けました…が、そのうちに彼の食事のスピードが遅くなりました。多分おなかが満たされたのでしょう、地響きのようなげっぷをして、その巨人は言いました。

「して」
「はい」
「もう一度だけ聞く。なぜここに来た」

あー、もう仕事に戻りたがっている顔です。
あからさまに邪魔に思っている顔です。

わたしは、わかりやすい言葉を探しました。

「お話をしたかったのです」
「聞こう。どんな話だ」
「ええと…何をしているか」
「前と同じだ、彫刻をしている」
「食事は取ったのか」
「今取った。月に1度はのこのこやってきた生物を捕らえて食事することにしている。…今日、腹は一杯だから、お前を食うことはない」
「(今のわたしは一人でも弱くないもん!)…えーと、えーと、寂しくないか」
「ない」

一瞬いらっとして、思わず自分の思ってることを直接聞いてしまいました。
しかも答えは否でした。

「誰かと話したくはなかったか」
「ない」
「ヒマじゃなかったか」
「ない。むしろ忙しい」
「何か不足しているものはないか」
「…あるな。氷を削るためののみが鈍ってきたように思う。何百年も酷使したしな。あれの代わりがあればいい」
「じゃあわたしが持ってきて」
「無理だ。これは『+5マジックのみ』だ。替えはプライモーディアルにしかないだろう」
「そうかも…」

ゴウッ!

フロストジャイアントは、口から吹雪き混じりに大きな音を出しました!
ブレス…かと思ったら、どうやら笑いだったようです。
冷たくはないですが、髪に、アロハシャツに、吹雪がびっしりつきました。

「解した。お前は親が子にするような生存確認をしたかったのだな」
「生存…確認…」

また何回か彼は笑ったあと、
「お前の生涯のほうがはるかに短いというのに…母親か!」
彼は目を隠すように手をあて、激しく咳き込むように笑いました。
笑いすぎてややテーブルに伏せそうな感じです。

…こういう「まいったなー」のポーズって、どの種族も共通なのね…くそう…。

「お、お母さんとは言わないですけど…友達ぐらいになれたらな、ぐらいは…」
「餌から友という感情を抱かれるとは!儂も落ちぶれたもんだな!」
「すみませんでしたね…」
「しかし、それもいいだろう、お前の気が済むなら、そう思っていてもよい」
巨人はそう言って、席を立とうとしました。
多分、彫刻の仕事に戻ろうというつもりです。

「待ってください」
「何だ」
「友達はかたっぽが思っていても成り立たないんです。あなたにも友達だと思って欲しいんです。だから」
「だから、何だ」

あー。
またフロストジャイアントの顔に戻りましたよー。
イニシアチブのダイス握ったような顔ですー。

でも、ここであきらめるわたしじゃありません。
もうひとえぐりはしていきます。

「もっとたくさんおたがいを知りたいんです、だから」
「知ってどうする」
「あなたが何を好んで、何をしているのかもっと知りたいんです。あなたが何に心を砕いているか、知りたいのです」
「…」

メルセーデ:1d20+17 ◆交渉
DiceBot : (1D20+17) → 16[16]+17 → 33

「きっと、まだ、あなたにとってのわたしは『変な人』でしかないと思います。承知しています。でも、わたしは時々ですけれども、『今頃どうしているのかな』と心配になります。だから、時々はわたしがこうして心配することを許して欲しいのです」

また巨人は「まいったな」のポーズをしました。

「…好きにするがいい」

「…!」

そんなわけで。

わたしは、その後数回、大量のパンと牛乳を持って、元副官のもとを訪ねました。
相も変わらず彼は氷の彫刻を掘り続け、そして時々こうして一緒のテーブルで食事をしました。





彼は一度だけ言ったことがありました。

「罪の償いが終わったなら、『家族』に会うのもいいかもしらぬな、まあ、まだかつての居城にいたならば、な」
「それはいいことですよ!」
「お前は一人でここに来るのが好きなぐらいなのだから、旅行好きなのだろう。一緒に来たらどうだ」
「ん、プライモーディアルへはちょっと…」

彼はその時も目を隠すように手をあて、激しく咳き込むように笑いました。

--------
◆2013/04/30
◆メルセーデ21歳
◆シルヴァー・クロークス後
◆登場NPC フロストジャイアントの元副官

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